難問論理クイズ「幼女とシェリルの誕生日」で有名問題を撃破せよ

さあ、超有名問題の登場です。

「シェリルの誕生日」。

14〜15歳向けの算数の問題として2015年に登場しました。

一見すると簡単そうですが、実はかなりの論理力を試される問題で「難しすぎる」と世界中で評判になった話題作です。

シンガポール&アジア数学オリンピック(SASMO)で出題された問題だけあって、完成度は折り紙つき。

世界中がうなった巧妙な論理トリックを見抜いてください。

問題

シェリルと友達になった幼女A,Bは、シェリルの誕生日はいつなのかと一緒に聞いた。

シェリルは、自分の誕生日は以下の10個のうちどれかであると告げた。

5月15日、5月16日、5月19日
6月17日、6月18日
7月14日、7月16日
8月14日、8月15日、8月17日

その後、シェリルは幼女Aに正解の「月」だけを、幼女Bに「日」だけを教えた。

幼女A「私はシェリルの誕生日が分からないけど、Bも分かっていないことは分かるよ」

幼女B「私も最初は分からなかったけど、いま分かったよ」

幼女A「それなら私も分かった」

さて、シェリルの誕生日はいつだろうか?

さあ、解いてみよう!

非常によくできた問題です。

ぱっと見は「何をどう考えていいのか分からない」としか思えないのですが、論理の筋道にしたがって取り組めば必ず答えは1つに絞られます。

順序立てて考えていくこと。

それが最も大切です。

※少し下にスクロールするとヒント編が始まります

 

 

 

 

ヒント

第1のヒント

初期段階で幼女Aは「月」しか知らないので答えが分からない。

だが、その時点で「幼女Bも答えが分からない」と発言している点がかなり重要。

第2のヒント

幼女Aの最初の発言だけで、答えの候補から除外できる「月」がある

第3のヒント

幼女Bが知っている「日」は、幼女Aの発言だけでシェリルの誕生日が特定できる日にちでなければならない

最後のヒント

幼女Aは最後に「それなら分かった」と発言するが、この情報でようやく読者は答えをひとつに絞り込める

※少し下にスクロールすると答えがあります

 

 

 

 

正解

7月16日

解説

開始時の誕生日候補

5月15日、5月16日、5月19日
6月17日、6月18日
7月14日、7月16日
8月14日、8月15日、8月17日

幼女Aの最初の発言

幼女A「私はシェリルの誕生日が分からないけど、Bも分かっていないことは分かるよ」

正解となる誕生日の「月」しか知らない幼女Aは、当然この段階では答えが分かりません。

当然のように思える発言ですが、実は後半部分の「Bも分かっていないことは分かるよ」の部分が隠れたキーポイントになります。

幼女Bはシェリルの誕生日の正しい「日」を知っている––ということを幼女Aは知っています。

この時点で、5月と6月が選択肢から除外されます。

下記の候補一覧をご覧ください。

5月15日、5月16日、5月19日
6月17日、6月18日
7月14日、7月16日
8月14日、8月15日、8月17日

幼女Bがシェリルから教えられた「日」は「14日」「15日」「16日」「17日」「18日」「19日」のどれか。

「18日」「19日」は、全候補の中で1回のみ登場する日にちです。

もし幼女Bに与えられた日にちが「18日」か「19日」なら、その時点で幼女Bはシェリルの誕生日の候補をただ1つに特定できるはずです。

「18日」「19日」は誕生日を特定できる特殊な「日」。

しかし、幼女Aは「Bにも正解が分からない」と言った。

もし幼女Aに与えられた「月」が、「日にち情報だけで誕生日を特定できる18日・19日」が存在する「5月」「6月」だった場合、この発言はできません。

つまり、幼女Aに与えられた月は「7月」か「8月」であると判明します。

この瞬間、候補は半分に絞られます。

現在の候補:
7月14日、7月16日
8月14日、8月15日、8月17日

幼女Bの発言

幼女B「私も最初は分からなかったけど、いま分かったよ」

現在の候補:
7月14日、7月16日
8月14日、8月15日、8月17日

幼女Aの発言を聞いて、幼女Bは答えをひとつに絞りこめました。

もし正解が「14日」だった場合、幼女Bは正解を特定できません。
両方の月にその日にちが存在するからです。

ここで候補がさらに3つに絞られます。

現在の候補:
7月16日
8月15日、8月17日

幼女Bは正解が分かりましたが、読者はこの時点では正解を特定できないことに注意してください。

幼女Aの最後の発言

幼女A「それなら私も分かった」

現在の候補:
7月16日
8月15日、8月17日

幼女Aも正解の候補を上記の3つに絞り込めました。

そして、この時点で幼女Aは正解が分かったと宣言しています。

つまり正解の月は、すでに日にちの候補が1つしかない「7月」です。

幼女Aに与えられたのが「8月」だった場合、幼女Aは最後になっても「8月15日」「8月17日」のどちらが正解なのか特定できないからです。

以上より、シェリルの誕生日は「7月16日」であると判明します。

まとめ

はーーーーー。

論理クイズって面白い……。

こういうのもっと増えないかなー。

いやぼくが観測していないだけでさらに大量に存在しているのかもしれない。

数学オリンピックとかの資料をもっとあさってみよう。

ちなみにこの問題をさらに複雑化したものがNSAから発表されています。

難問論理クイズ「幼女とチャーリーの誕生日」もあわせてお楽しみください。

参考

How to solve Albert, Bernard and Cheryl’s birthday maths problem

140字以内の問題文

AB「シェリルの誕生日はいつ?」
シェリル「次のどれか」
5月15日、16日、19日
6月17日、18日
7月14日、16日
8月14日、15日、17日
シェリル「月はAに、日はBに教えたよ」
A「正解は不明。Bも分からない」
B「今分かった」
A「今分かった」
誕生日はいつ?