「ハリーポッターと賢者の石」の論理クイズを解いてみよう

大人気魔法ファンタジー「ハリーポッター」シリーズの1作目『ハリーポッターと賢者の石』で登場した論理クイズ。

挿絵がなかったので実際にクイズを楽しむことは不可能でした。

というわけで今回、論理的に解決できるパターンを見つけてきました。

さあ、時を超えてあの問題にチャレンジしましょう!

問題

部屋のテーブルには、7本のボトルと、紙が置かれている。

紙には以下の内容が書かれている。

前には危険 後ろは安全
君が見つけさえすれば2つが君を救うだろう
7つのうちの1つだけ 君を前進させるだろう
別の1つで退却の道が開ける その人に

2つの瓶はイラクサ酒
残る3つは殺人者 列にまぎれて隠れてる
長々居たくないならば どれかを選んでみるがいい
君が選ぶのに役に立つ 4つのヒントを差し上げよう

まず第1のヒントだが どんなにずるく隠れても
毒入り瓶のある場所は いつもイラクサ酒の左
第2のヒントは両端の 2つの瓶は種類が違う
君が前進したいなら 2つのどちらも友ではない

第3のヒントは見たとおり 7つの瓶は大きさが違う
小人も巨人もどちらにも 死の毒薬は入ってない
第4のヒントは双子の薬 ちょっと見た目は違っても
左端から2番目と 右の端から2番目の 瓶の中身は同じ味

『ハリー・ポッターと賢者の石』(著:J.K.ローリング / 訳:松岡祐子)より抜粋

7つの瓶には毒薬・イラクサ酒・前進する薬・退却する薬が入っている。

前進する薬はどれ?

さあ、解いてみよう!

ヒントをまとめてみましょう。

1. イラクサ酒の左には必ず毒がある
2. 両端のボトルの中身は種類が違う、どちらを飲んでも前進できない
3. 最小の瓶にも最大の瓶にも毒は入っていない
4. 左端から2番目の瓶と、右端から2番目の瓶は、中身が同じ

それではスタート!!

少し下にスクロールすると答えがあります。

 

 

 

 

正解

前進する薬は3番

1,4,5が毒薬
2,6がイラクサ酒
7が退却する薬

解説

まず手がかりになるのは「ヒント3」(最大の瓶も最小の瓶も毒ではない)。

ここから2番,3番は毒ではないことが確定します。

さらに「ヒント4」(2番と6番は中身が同じ)により、6番も毒ではないことが分かります。

ここで7つの瓶の内訳(毒3,酒2,前進薬1,退却薬1)を考えると、「毒ではない」「同じ中身が2瓶ある」という条件を満たすのはイラクサ酒のみなので2番と6番はイラクサ酒です。

さて、イラクサ酒が2番,6番だと分かったので、ヒント1(イラクサ酒の左には必ず毒がある)により、1番と5番は毒薬で確定します。

残る毒薬1つは4番か7番です。
どちらでしょう?

ヒント2を確認しましょう。
「左端と右端の瓶は種類が違い、そのどちらも前進薬ではない」

1番は毒でした。
つまり7番は毒ではない。

というわけで1,5番および4番が毒薬です。

残っているのは前進薬と退却薬。
3番と7番のどちらかがどちらか。

さて、ヒント2は「左端と右端の瓶は種類が違い、そのどちらも前進薬ではない」でした。

すなわち7番は前進薬ではないので、退却薬です。

残った3番が前進薬となります。

まとめ

原作では挿絵が描かれていなかったため、この論理クイズに挑戦することが許されませんでした。

今回は「原作のクイズの条件から解くことのできる配列」のうち1つをアレンジしてご紹介しました。

最小の瓶が3番、最大の瓶が6番の位置にあるパターンでもきちんと解くことが可能です。(中身の組み合わせはかなり異なりますが)

興味のある方は下の参考リンクをご参照ください。

参考

The Harry Potter Problem by Roger Howe

「ハーマイオニーの論理」に挑戦!

補足:第1のヒントについて

日本語訳では

まず第1のヒントだが どんなにずるく隠れても
毒入り瓶のある場所は いつもイラクサ酒の左

となっていますが、原文では

First, however slyly the poison tries to hide
You will always find some on nettle wine’s left side;

となっており、
「毒入り瓶はいつもイラクサ酒の左にある」
よりも
「イラクサ酒の左にはいつも毒入り瓶がある」
とした方が齟齬が生まれにくくなります。

従来の日本語訳では「毒入り瓶はイラクサ酒の左隣にのみ存在する」と解釈されやすくなっているため、「毒入り瓶は3本、イラクサ酒は2本。これでは問題が解けない」という誤解を生みかねません。

実際には誤訳というわけではなく、事実「毒入り瓶はいつもイラクサ酒の左にある」は問題なく成立します。

これがもし「毒入り瓶はいつもイラクサ酒の左にある」という訳だったら少し問題あったかもしれませんが。

ぼくもかつては日本語訳で「ハリーポッター」シリーズを大いに楽しんだ身です。
訳者である松岡祐子様に敬意を表しまくって「問題」の全文は氏の訳を、「さあ、解いてみよう!」以降は説明を省くため独自の表現を用いております。