問題
ある教授が、大学を休むことになった。
しかし自分の代わりに授業をしてくれる人を探していなかったことに気づき、あわてて幼女A,B,Cにメールを送った。
「いきなりだけど私の代わりに誰か1人が授業をやっておいてください!お礼はアップルパイです!」
教授のアップルパイはやたらと美味しいので、幼女ABCは自分が授業をしたいと思っている。
ただし幼女は全員「教授の授業がいつどこのクラスで行われるのか」を知らない。
Aは「クラスの階数」
Bは「授業の時間」
Cは「クラスの学部棟」
のみ知っている。
正解の可能性があるのは、以下のリストの内のいずれか。
- 1階 9時 北館
- 2階 12時 西館
- 1階 3時 西館
- 1階 10時 東館
- 2階 10時 北館
- 1階 10時 南館
- 1階 10時 北館
- 2階 11時 東館
- 3階 12時 西館
- 2階 12時 南館
「授業が行われる場所と時間」をいちばん早く特定した幼女が授業をすることになり、アップルパイを得る。
以下は3人がリストを見た後の会話である。
A「誰か分かった?」
BC(同時に)「Aには分からないよ」
A「あなたたちは分からないの?」
BC(同時に)「分からない」
A「あ、分かった!」
さて、授業はいつどこで行われる?
さあ、解いてみよう!
いかにも論理クイズといった風情。
きちんと考えていけば何の問題もなさそうに見えますが……。
実はちょっとつまづく部分があります。
ヒントはなし。
少し下にスクロールすると答えがあります。
正解
2階 10時 北館
解説
「あなたには分からない」
A「誰か分かった?」
BC(同時に)「Aには分からないよ」
Aが知っているのは「クラスの階数」。
もしAが知っている「クラスの回数」が「3」だったら、リストの中で唯一3階である「3階 12時 西館」が正解だと分かります。
しかしBCは「Aには分からない」と発言した。
もしBの知る時間が「12時」、あるいはCの知る学部棟が「西館」だったら、Aがすぐ正解できる可能性が残っているため「Aには分からないない」という発言ができません。
つまり正解の時間は「12時」ではなく、正解の学部棟は「西館」ではありません。
「12時」「西館」を含む選択肢を消去すると、リストは以下のようになります。
- 1階 9時 北館
- 1階 10時 東館
- 2階 10時 北館
- 1階 10時 南館
- 1階 10時 北館
- 2階 11時 東館
「私たちは知らない」
A「あなたたちは分からないの?」
BC(同時に)「分からない」
さて、Bが「分からない」と言ったことについて考えましょう。
もしBの知る時間が「9時」か「11時」だったら、それを含む選択肢はひとつずつしかないため、Bはすぐに正解が分かります。
しかしBには正解が分からない。
ということは、選択肢から「9時」「11時」を含む候補が消えます。
そして「Bと同時に答えたC」についても考えましょう。
ここがポイントです。
CはBの発言の後に答えたのではなく、Bと同時に答えました。
Bの発言だけを考慮してすぐに選択肢を削ってしまいその後でCの発言を考えても問題は解けません。
Cの発言は、あくまでも直前の6つの選択肢が生き残っている状態で(Bの発言を聞くことなく)行われたものです。
さて、学部棟の選択肢は「北,東,北,南,北,東」。
もしCの知る学部棟が「南」であれば、Cはすぐに正解が分かります。
しかしCには分からなかった。
ということは、選択肢から「南館」を含む候補が消えます。
ここでようやく先ほどのBの発言と合わせられます。
選択肢から「9時」「11時」「南館」を含む候補を消しましょう。
- 1階 10時 東館
- 2階 10時 北館
- 1階 10時 北館
「分かった」
A「あ、分かった!」
選択肢が3つになった時点でAは正解を特定しました。
この3つのうち、「それを知っていれば正解を1つに限定できる」階数。
それは「2階」。
もしAが知っている情報が「1階」なら、Aはここで正解が分かりません。
よって正解は「2階 10時 北館」。
Aは見事アップルパイを入手することになります。
まとめ
「分からない」という発言から選択肢を消去していく論理クイズは多いですが、「同時に答えた」という部分が大きなポイントになるパターンは初めてです。
まだまだ論理クイズの世界は広く深いということでしょう。
参考
October 2015 Puzzle Periodical