問題
コインを100回投げる。
表がぴったり50回出る確率は?
- 80%
- 50%
- 8%
さあ、解いてみよう!
「そんなの」
「50%では?」
と思ってしまいますが、ちがいます。
ヒントはなし。
少し下にスクロールすると答えがあります。
正解
約8%
解説
なぜ50%ではないのか?
「コインを100回投げたら、だいたい50回は表が出る」
その通りです。
「コインを100回投げる」という試行を何度も何度もくりかえしていけば、統計的には「表が50回出る」という頻度がもっとも高くなります。
その次に多く出るのは「表が49回もしくは51回」。
その次は「表が48回もしくは52回」。
その次は「表が47回もしくは53回」……。
これを評して「コインを100回投げたら、だいたい50回は表が出る」と言うことはたしかに可能です。
ただしこれは、「コインを100回投げると50%の確率でぴったり50回表が出る」という意味ではありません。
「コインを100回投げたら、だいたい50回は表が出る」
というのは、
「コインを100回投げたら、表が50回出る確率がもっとも高い」
「そして”50回”を頂点とすると、全体の確率は山なりになる」
という意味でしかないのです。
必要な知識
本問では「反復試行の確率」を使います。
確率\( p \)で成功するような試行を独立に\( n \)回反復して行ったとき、\( n \)回のうち\( k \)回成功する確率は以下の式で表されます。
\( {}_n \mathrm{ C }_k p^k (1−p)^{n−k} \)
なるほど。
わからん。
こういう「記号ばかりでいかにも数学です!」っていう式を見ると拒否反応ががが。
とりあえず例で考えてみましょう。
\( p = ( \frac{1}{6} ) , n=3 , k=1 \)なので
\( {}_3 \mathrm{ C }_1 ( \frac{1}{6} )^1 ( \frac{5}{6} )^2 = \frac{25}{72} \)
である
なるほど。
やっぱりわからん。
「反復試行の確率」については以下のサイトの解説がくわしいです。
「待て」
「そもそも\( {}_n \mathrm{ C }_k \)って何?」
「どうやって読むの?」
「”二項係数”か。知っている。読み方だけはな」
という方は『数学ガールの秘密ノート/場合の数』っていう本がめちゃくちゃ分かりやすいのでぜひ読んでください。
本題
\( ( \frac{1}{2} ) \)
\( ( \frac{1}{2} ) ^ {50} \)
100枚のコインを一列に並べ、それを左から右に1枚ずつコイントスしていくと考えます。
コインを100枚投げ、前半の50枚で表が出て、後半50枚で裏が出る確率は
\( ( \frac{1}{2} ) ^ {50} \times ( \frac{1}{2} ) ^ {50} \)
ですね。
さて、このパターン以外に「表50,裏50」が出る組み合わせは何通りあるでしょうか?
3人から1人を選ぶ組み合わせは3通り。
4人から2人を選ぶ組み合わせは6通り。
100枚のコインから表となる50枚を選ぶ組み合わせは、
\( {}_{100} \mathrm{ C }_{50} = \displaystyle \frac{ 100! }{ 50! 50! } \)通り。
さて。
「ある特定の組み合わせ」の時に、表が50枚,裏が50枚出る確率は、先ほども書いたとおり
\( ( \frac{1}{2} ) ^ {50} \times ( \frac{1}{2} ) ^ {50} \)
です。
ならば「コインを100枚投げて表がぴったり50枚出る確率」は、
×
「コインを100回投げて表がぴったり50回出るある1通りの組み合わせの時の確率」
を計算すればいいはず。
やってみましょう。
こ、この式は!
\( p = ( \frac{1}{2} ) , n=100 , k=50 \)
とした時の「反復試行の確率」!!
なんということだ……。
我々は偶然にも「反復試行の確率」の計算を行っていたというのか……。
そんな感じで上記の式を計算すると0.079…という値を得られます。
およそ0.08。
というわけで正解は約8%です。
参考
What is the probability of getting 50 heads when 100 coins are tossed?
What is the probability 100 coin tosses will result in exactly 50 heads?