問題
A、B、クラリスの3人は友人である。
全員とても論理的で、つねに真実を話す。
AとBは、クラリスの誕生日の『月』も『日』も知らない。
そこでクラリスは次の方法で教えることにした。
まずクラリスが、AとBに聞こえるように叫ぶ。
「私の誕生日の『日』の数字は、私の誕生日の『月』の数字以下だよ」
それからクラリスはAに『日』を、Bに『月』を教えた。
A「Bはクラリスの誕生日が分からないよ」
B「Aもクラリスの誕生日が分からないよ」
2人はまったく同じ会話を何回も繰り返したが、最後に
A「Bはクラリスの誕生日が分からないよ」
B「いま、私たちはクラリスの誕生日が分かっている」
と発言して終わった。
結論から言うと、2人の「まったく同じ会話」は考えうる限りもっとも多く繰り返された。
クラリスの誕生日はいつだろうか?
さあ、解いてみよう!
なかなか難しい問題です。
論理クイズにおいて「誕生日問題」として知られる、
のいずれとも方向性がやや異なります。
分かっていることから1つずつ考えていきましょう。
ヒントはなし。
少し下にスクロールすると答えがあります。
正解
7月7日
解説
最初の一歩
本問でもっとも重要なポイントとなるのが以下の一文。
「私の誕生日の『日』の数字は、私の誕生日の『月』の数字以下だよ」
1年の間には「12」の月があります。
なので、クラリスの誕生日の『日』は1日〜12日のどれか。
また、誕生日の『日』が『月』以下ということは、『日』は『月』の数字と同じかそれを下回る数字になります。
たとえばクラリスの誕生月が4月だとしたら、誕生日の選択肢としてあり得るのは1,2,3,4日のいずれかです。
1回目の不明
それから、クラリスはAに『日』を、Bに『月』を教えた。
A「Bはクラリスの誕生日が分からないよ」
Aは誕生日の『日』を、Bは『月』を知りました。
最初のAの発言に注目しましょう。
Bは誕生日の『日』を知ることが不可能––とAが発言できるのは、どんな状況でしょう?
たとえば、Bに与えられた『月』が1だったら?
『日』の数字は『月』以下なので、もしBがクラリスから誕生月は『1月』だと聞いたら、その瞬間にBは誕生日が「1月1日」だと見抜けます。
しかしAの発言は、「Bには分からない」。
最初の段階でAは「Bの『月』は1ではない」と知っていたのです。
なぜか?
Aに与えられた『日』が1ではないからです。
もしAの『日』が1なら、その時点で『月』の選択肢は1〜12のいずれも有り得ます。
けれどAの『日』が2以上なら(『日』は『月』と同じか下回る数字になるので)、Bの『月』は少なくとも1ではないと分かるのです。
例)2月2日、5月2日などはありえるが、1月2日はありえない
そんなわけで、最初のAの発言は「『日』は1ではない」というメッセージに置き換えられます。
2回目の不明
B「Aもクラリスの誕生日が分からないよ」
Aのメッセージを受け取ったBは、「Aもクラリスの誕生日が分からない」と言いました。
意味を考えてみましょう。
先ほどとは逆に、Aが即座にクラリスの誕生日を見抜ける場合があります。
Aの『日』が12の場合です。
『日』は『月』と同じか下回る数字になるので、『日』が12なら『月』も12で確定します。
しかしBは「Aにも分からない」と言った。
Aの『日』が12ではないとBには分かった。
なぜか?
Bの『月』が12ではないからです。
Bの『月』が12の場合、Aの『日』は1〜12の選択肢があります。
しかしBの『月』が12ではない場合、何が起こってもAの『日』は12にはなりません。
だからBは「Aにも分からない」と言えたのです。
そんなわけで、Bが最初に発した言葉は「『月』は12ではない」というメッセージに置き換えられます。
最後の不明
2人はまったく同じ会話を何回も繰り返したが、最後に
A「Bはクラリスの誕生日が分からないよ」
B「いま、私たちはクラリスの誕生日が分かっている」と発言して終わった。
結論から言うと、2人の「まったく同じ会話」は考えうる限りもっとも多く繰り返された。
2人の会話が繰り返されていくと何が起こるのか。
1回目の会話で『1日』『12月』が選択肢から消えました。
2回目にもまったく同じ会話がされたのならば、これまでの論理とまったく同様に『2日』『11月』が消えていくはずです。
『3日』が消え『10月』が消え
『4日』が消え『9月』が消え
『5日』が消え『8月』が消え
『6日』が消えた、
この瞬間!
最後にAが「Bはクラリスの誕生日が分からないよ」と言って『6日』が消えたこの瞬間!
残っている可能性は『7月』『7日』のみに限定されます。
クラリスの誕生日は7月7日です。
補足
ちなみにBが「正解にたどり着いたのは私たち2人」と示唆しているのは、Aは『8月』の可能性が消えた時点で正解にたどり着いていたからです。
なので別にAは『6日』の候補を消す「Bはクラリスの誕生日が分からないよ」という最後の発言をしなくても正解が分かっていたのですが、B(および読者)に情報を与えるためにわざわざそう発言したのだと考えられます。
また、Aが最後に「Bはクラリスの誕生日が分からないよ」と言わない限り、Bの視点では誕生日の候補が『7月6日』『7月7日』の2つなので正解を絞りきれません。
Aの最後の「Bはクラリスの誕生日が分からないよ」という発言は、それが伝わる瞬間まではBはクラリスの誕生日が絶対に分かりません。
A、B、クラリスの3人は友人である。
全員とても論理的で、つねに真実を話す。
たしかに誰も嘘はついていません。
まとめ
いやー。
めっちゃ面白い論理クイズでしたねー。
ちょっと方向性は違いますが以下の論理クイズもおすすめです!
参考
Did you solve it? The birthday birthday problem