難問論理クイズ「幼女とキャリバンの遺言状」は意味不明に思えるけれど

さあ、かなり頭を使う問題が登場だ!

ヒントなしで正解にたどりつけたら……すごい人です。

いえ本当に。

問題

キャリバンの遺言状にはこう書かれている。

私が持っている10冊の本を、幼女A,B,Cにあげます。
ただし次の順番で幼女を選んでわたしてください。
  1. 私と会ったときに白い帽子をかぶっていた幼女を、Aより先に選んではいけません
  2. 幼女Bが1920年にオックスフォード(※英国の街)を旅行しなかったのであれば、「1番目に選ぶべき幼女」は私に傘をかさなかった幼女です
  3. 幼女BまたはCが「2番目」に選ばれるとしたら、Cは”3人の中でもっとも早く初恋を経験した人”よりも先に選ばれなければいけません

残念ながら幼女ABCは、遺言状に書かれていることをまったく覚えていなかった。

キャリバンの関係者はこう言った。
「”この遺言状には不必要な文章がひとつもない”と仮定すれば、本を渡す順番は必ず分かる」

さて、ABCが本を受けとる順番は?

さあ、解いてみよう!

……。

ははっ。
わからん。

いやどういうこと?
白い帽子とかオックスフォードとか初恋とか何のヒントにもなってない。

というか幼女たちが何も覚えてない時点で完全にお手上げ状態なのでは?

がんばってよ!!
そこ覚えといてってば!!

何か……解ける要素がカケラもないのですが……。

Q. 本当に解けますか?
A. 解けますがかなり難しいです

自信のある方はチャレンジしましょう。

 

少し下にスクロールすると答えがあります。

 

 

 

 

正解

本がわたされる順番は「A,C,B」

解説

前提

「”この遺言状には不必要な文章がひとつもない”と仮定すれば、本を渡す順番は必ず分かる」

これが大きなポイントです。

「幼女が本を受け取る順番」を知るためには、遺言状の3つの文章すべてが必要になる。

つまり、どの文章にも必ず有用な情報が含まれているということ。

「ある文章の情報を使わなくても答えが出た」としたら、その答えは誤りです。

3つの文章がすべて必要にならねばならない。

これがスタート時の状況です。

第1の文章

1. 私と会ったときに白い帽子をかぶっていた幼女を、Aより先に選んではいけません

この文章は、問題を解くとき必要になります。

ということは、少なくともBかCのどちらか(あるいは両方)が白い帽子をかぶってキャリバンに会ったはずです。

そうでなければ(=BもCも白い帽子をかぶってキャリバンに会っていなかったとすると)この文章は不要になってしまいます。

確定したのは「BもしくはCを、Aより先に選んではいけない」。

ここから分かるのは「Aは3番目ではない」ということ。

Aは必ず、BもしくはCより先に選ばれるからです。

わかったこと

・Aは3番目ではない(白い帽子の幼女より前)
・BかC(あるいは両方)が白い帽子をかぶっていた

第2の文章

2. 幼女Bが1920年にオックスフォード(※英国の街)を旅行しなかったのであれば、「1番目に選ぶべき幼女」は私に傘をかさなかった幼女です

この文章は、問題を解くときに必要です。

もし幼女Bが1920年にオックスフォードを旅行したとすると、この文章から「本を渡す順番」に関する情報は得られず、この文章は不要ということになります。

しかし実際には、この文章は必要になる。
ということは、幼女Bは1920年にオックスフォードへ行かなかったはずです。

同様に、「キャリバンに傘をかした幼女」が必ずいます。
もし誰もキャリバンに傘をかさなかったとすると、この文章から何の情報も得られなくなってしまうからです(=「1番目に選ぶべき幼女」の候補が3人のまま減らない)

わかったこと

・Aは3番目ではない(白い帽子の幼女より前)
・BかC(あるいは両方)が白い帽子をかぶっていた
・キャリバンに傘をかした幼女がいる
・キャリバンに傘をかさなかった幼女が1番目

第3の文章

3. 幼女BまたはCが「2番目」に選ばれるとしたら、Cは”3人の中でもっとも早く初恋を経験した人”よりも先に選ばれなければいけません

この文章は、問題を解くときに必要になります。

これまでと同じ理屈により、幼女BかCのどちらかは2番目に選ばれます。
そうでなければこの文章から情報を得られないからです。

さらに、Cは3番目ではありません。
これも同様の論理です。

わかったこと

・Aは3番目ではない(白い帽子の幼女より前)
・BかC(あるいは両方)が白い帽子をかぶっていた
・キャリバンに傘をかした幼女がいる
・キャリバンに傘をかさなかった幼女が1番目
・BかCが2番目
・Cは3番目ではない

複雑な論理

  1. 私と会ったときに白い帽子をかぶっていた幼女を、Aより先に選んではいけません
  2. 幼女Bが1920年にオックスフォード(※英国の街)を旅行しなかったのであれば、「1番目に選ぶべき幼女」は私に傘をかさなかった幼女です
  3. 幼女BまたはCが「2番目」に選ばれるとしたら、Cは”3人の中でもっとも早く初恋を経験した人”よりも先に選ばれなければいけません
わかったこと

【1-1】Aは3番目ではない(白い帽子の幼女より前)
【1-2】BかC(あるいは両方)が白い帽子をかぶっていた
【2-1】キャリバンに傘をかした幼女がいる
【2-2】キャリバンに傘をかさなかった幼女が1番目
【3-1】BかCが2番目
【3-2】Cは3番目ではない

今までのまとめです。

ここから複雑になります。
ひとつずつ考えていきましょう。

誰が傘をかした?・1

キャリバンに傘をかしたのは誰でしょう?

もしAがキャリバンに傘をかしたとすると、Aは1番目には選ばれず(【2-2】)、Aは3番目でもありません(【1】)。
この場合、Aの順番は2番目になります。
しかし仮にAが2番目だとすると、【3-1】の文章が成立しません。
よって、Aはキャリバンに傘をかしていません。

誰が傘をかした?・2

ひょっとするとBもCも2人ともキャリバンに傘をかしたのでしょうか?

それはありえません。
もしBCが2人とも傘をかしたとすると、【2-2】のとおりAが1番目になり、【3-2】のとおりCが2番目、残るBが3番目になります。

一見すると矛盾がないので正解のように思えます。

が、これは間違いです。

【第1の文章】が存在している意味がなくなるからです。

問題の前提を思い出してください。

「幼女が本を受け取る順番」を知るためには、遺言状の3つの文章すべてが必要になる。
つまり、どの文章にも必ず有用な情報が含まれているということ。
「ある文章の情報を使わなくても答えが出た」としたら、その答えは誤りです。
3つの文章がすべて必要にならねばならない。

たったいま出した「A,C,B」という順番は【第2の文章】【第3の文章】を元に組み立てた論理です。
が、【第1の文章】の情報が何の役にも立っていません。

もしこの順番が正解だとすると、問題の前提から【第1の文章】も順番決定に何らかの影響を与えていなければいけないのです。

この章の前提が崩れました。
まとめましょう。

BCが2人ともキャリバンに傘をかしたわけではない。

ここで

【2-1】キャリバンに傘をかした幼女がいる

より、BかCのどちらかがキャリバンに傘をかしたことが確定します。

わかったこと

【1-1】Aは3番目ではない(白い帽子の幼女より前)
【1-2】BかC(あるいは両方)が白い帽子をかぶっていた
【2-1】キャリバンに傘をかしたのはBかC ← New!
【2-2】キャリバンに傘をかさなかった幼女が1番目
【3-1】BかCが2番目
【3-2】Cは3番目ではない

白い帽子をかぶっていたのは誰?

直前の論理と同じように考えてみましょう。

もしBCが2人とも白い帽子をかぶってキャリバンに会っていた場合、【1-1】よりAが1番目で確定、【3-2】よりCが3番目、残るBが2番目––すなわち「A,B,C」という順番が矛盾なく成立します。

ですがこれでは【第2の文章】の情報が完全にいらなくなります。

よって、BCが2人とも白い帽子をかぶってキャリバンに会ったわけではない。

さらに

【1-2】BかC(あるいは両方)が白い帽子をかぶっていた

より、BかCのどちらかが白い帽子をかぶってキャリバンに会ったことが確定します。

わかったこと

【1-1】Aは3番目ではない(白い帽子の幼女より前)
【1-2】BかCのどちらかが白い帽子をかぶっていた ← New!
【2-1】キャリバンに傘をかしたのはBかC
【2-2】キャリバンに傘をかさなかった幼女が1番目
【3-1】BかCが2番目
【3-2】Cは3番目ではない

ハットアンブレラ

「白い帽子をかぶっていた」
「傘をかした」
この2つに当てはまる可能性があるのはBとC。

この2人がカギになります。

さて、もしBが「白い帽子」「傘をかした」の条件を2つとも満たしていたら?

【1-1】より、Bは2番目か3番目です。
すると【3-1】【3-2】より、「A,C,B」という順番が確定します。
【第2の文章】を使わなくとも矛盾のない答えが出てしまったので、これは間違いです。

つまりBは「白い帽子」「傘をかした」のいずれか1つの条件しか満たせません。
そしてまったく同じことがCにも言えます。

正解としてありえるのは

  • B「白い帽子」、C「傘をかした」
  • B「傘をかした」、C「白い帽子」

のどちらかのパターン。

わかったこと

【1-1】Aは3番目ではない(白い帽子の幼女より前)
【1-2】BかCのどちらかが白い帽子をかぶっていた
【2-1】キャリバンに傘をかしたのはBかC
【2-2】キャリバンに傘をかさなかった幼女が1番目
【3-1】BかCが2番目
【3-2】Cは3番目ではない
【論理】B「帽子」C「傘」あるいはB「傘」C「帽子」 ← New!

ファーストラブ

いよいよ大詰めです。

先の2パターンを検証していきましょう。

B「白い帽子」、C「傘をかした」

の場合、
【1-1】【2-2】【3-2】より
「AはBより前」「AかBが1番目」「Cは1〜2番目」となるので、
「A,C,B」という順序が確定します。

B「傘をかした」、C「白い帽子」

の場合、
【1-1】【2-2】【3-2】より
「AはCより前」「AかCが1番目」「Cは1〜2番目」となるので、
やはり「A,C,B」という順序が確定します。

そしてこの2つのパターンいずれにおいても、3つの文章すべてが情報として有用に活用されています。

ようやく真実にたどりつきました。

本がわたされる順番は「A,C,B」。

そして3人の中でもっとも早く初恋の経験をしたのは……Bですね。

まとめ

論理クイズ。

それはロマンである。

いやーめっちゃ難しかったですねー。

でも面白かったーーーーー。

参考

Caliban’s Will by M.H. Newman