親知らず。
埋まった奥の歯。
「いつか抜かなければならない」と思っていた親知らずを抜いたのですが、想像以上に抜歯が難航したので、その時の様子をお伝えします。
目次
最強の親知らず
まずはこちらの画像をご覧ください。
これは、ぼくの下顎(左)をレントゲンで撮影したものです。
はい。
パーフェクトな横向きに生えた親知らずが、正常な歯を圧迫し始めています。
放置したら不都合が出まくる
「絶対に抜くべき親知らず」
です。
ひとくちに「親知らずを抜く」と言っても、歯の位置や経過状態によってその難易度・必要時間は大きく異なります。
簡単な親知らずなら30分程度(抜くだけなら5分)。
今回、ぼくの抜歯にあたり先生が用意してくださった時間は2時間。
かなり厄介な親知らずのようでした。
というのも、
・歯自体が歯茎で完全に覆われている
・ほとんど骨に埋まっている
・手前の歯と密着している
・親知らず自体がかなり大きい
それらに加えて、––CTスキャンの図をご覧ください––
・歯が途中で二つに分かれ、最終的にひとつに合流するような形で骨を抱きかかえている
・(CTスキャンでは分からないが)歯の末端が逆向きの鉤爪状であり、真の最終段階においても抜かれまいと頑強に抵抗する
という、難攻不落のあらゆる要素を兼ね備えた「ぼくが考えた最凶の親知らず」が出現していました。
特に最後の2つの要素を突破するのは極めて難解だったようです。
この要塞を生涯エリミネートするための手順は
1.麻酔の注射をし
2.歯茎を切開し
3.骨を削り
4.歯を切削し
5.砕き
6.抜く
という字面だけ見たら中世の残虐な拷問フルコースみたいなラインナップをお届けしなければなりませんでした。
それでは当日の様子を振り返っていきましょう。
抜歯当日の流れ
16:10 選手入場
ぼく「よろしくお願いします」
先生「はいー」
助手さん「わー」
16:15 麻酔
ぼく「あー今の麻酔って全然痛くないんですねー」
先生「はいー」
助手さん「わー」
16:20 開始
先生「じゃあ始めますね」
助手さん「ちょっと吸いますねー」
ぼく「(たぶん切ってるんだろうけど全く痛くない麻酔すごい」
16:40くらい
先生「痛かったらいつでも左手を挙げてくださいね」
ぼく「あっ……いま痛いです」
先生「じゃあちょっと麻酔追加しますね」
(※これを全編にわたって6回ほど繰り返す)
17:00くらい
先生「だいぶ進んできました」
助手さん「ちょっと押される感じしますよー」
ぼく「(この押される感じの時って何が行われてるんだろう)(怖くて聞けない)」
17:10くらい
先生「はーいちょっと響きますよー」
チュイイイイイイイイインキュラッッキュリリリイイイイイイイイイイイイイイン
ぼく「(これが終わったら異世界ハーレムに行ける異世界ハーレムに行ける異世界ハーレムに行ける)」
17:30くらい
先生「治りが遅くなるのでなるべく骨は削りたくありません、ので歯を削りますねー」
助手さん「もうちょっとですよー」
ぼく「このすばこのすばこのすば」
17:40くらい
先生「うーん……もうちょっとのはずなんですけど、途中でひっかかって奥に戻っちゃいますね……ちょっと歯を小さくしたり砕いたりしますねー」
助手さん「もうちょっとですよー」
ぼく「うぇーい」
18:00くらい
先生「あーそうですねー歯が骨を抱きかかえてるんでちょっと時間かかってます。申し訳ありません」
助手さん「アゴ疲れましたよね、ごめんなさいねー」
ぼく「いえいえいえいえ(むしろ面倒な歯をしててごめんなさい)」
18:15くらい
先生「うーん……もうちょっと……もうちょっとなんですけど……お時間かかってます……すみませんねー」
助手さん「すみません」
ぼく「いえいえいえいえいえいえいえ(なぜかめっちゃ謝られるけどものすごく申し訳なくてすごくごめんなさい)」
18:25くらい
先生「…………(黙々と)」
助手さん「…………(作業)」
ぼく「(あっもうすぐ終わる雰囲気)」
18:30くらい
先生「ふあーーーーーー(←ほんとにこんな声だった)」
先生「抜けました!!!」
助手さん「抜けましたよー!」
ぼく「うおおおおおおありがとうございます!」
先生「いやージョーさん頑張りました!ありがとうございます」
助手さん「お時間かかってごめんなさい」
ぼく「いえいえむしろあの本当にありがとうございます。すごく助かりました」
先生「いや、そんな。ジョーさんのお力ですよ」
ぼく「いやもう先生方のおかげですよ難しいところ本当にどうもありがとうございました」
助手さん「えへへ」
ぼく「(全員で何かを達成した時のような爽快感と達成感に満ちあふれている)」
ぼく「(まぁぼくは寝てただけなんだけどな!)」
18:40くらい
先生「じゃあちょっと消毒して縫いますねー」
ぼく「はいー」
助手さん「わー」
19:00
先生「おしまいです!」
助手さん「抗生物質と痛み止めェ!」
ぼく「うぇーい!」
当日のまとめ
そんな感じで、(小休止をはさんで)最終的に約3時間かかりました。
最後の1時間は「もう永久に口開けたままの人生なんじゃないか」ってくらい長く感じましたが、先生方のおかげで無事に終了しました。
先生が珍しくテンション高かったので色々うかがったところ、やはり相当に難易度の高い親知らずだったようです。
先生「でも20代で抜いておいてよかったです」
ぼく「そうなんですか?」
先生「ええ、これが40〜50代になると骨が固くなっちゃうので。もっと面倒なことになります」
ぼく「(ハリウッドぽく口笛を吹こうとする)(失敗する)」
そのあとは普通に帰って寝ました。
ちなみに費用は5,000円くらいでした。
翌日以降
抜歯の翌日、朝10時頃にふたたび歯科へうかがいました。
「面相が変わるくらい術後の腫れが最も強い」とされる「下顎の骨を削る」ことを行ったにも関わらず、腫れは少なく、痛みもかなり小さいものでした。
先生「いやーそうですか!よかった。ジョーさん強いですねー」
ぼく「いえいえ先生のおかげですよ。ありがとうございます」
先生「いやいやそんな」
ぼく「あっそうだ、このレントゲンの写真撮っても大丈夫ですか?(ブログ用に)」
先生「あっじゃあCTスキャンのも出しますよ」
ぼく「あざす」
先生「この辺りが本当にこうなってまして」
ぼく「(聞けば聞くほど無痛で終わったのが不思議なくらいの親知らずだ……)」
そんな感じで無事に終わりました。
ちなみに行ったのは総合病院や大学病院の歯科ではなくて、普通の歯科クリニックです。
先生、助手さん、ありがとうございました。
親知らずを抜くときにやるべきこと・注意すること
今回の件でぼくが学んだのは2つ。
- 痛かったら躊躇なく麻酔を打て
- シャワーは事前に浴びよう
麻酔は、人によって効果の出る箇所や強弱が異なります。
また、時間経過によってもその効果は薄れたりしてきます。
基本的に今の「親知らず抜歯」はほぼ完璧な無痛で終わります。
歯茎を切り、骨を削り、歯を砕くような進行が3時間続いても。
なので、「思わず手を握るくらいの痛み」を感じた時点で即座に挙手して追加の麻酔を打ってもらいましょう。
はい。
あとシャワーは行く前に浴びておくといいです。
抜いた日はお風呂に入れませんので。
まとめ
親知らずの抜歯は、痛くないです。
加齢とともに歯根が癒着して抜歯が困難になるので、とりあえず何か違和感を感じたら今すぐに歯医者に行って調べてもらいましょう。
今すぐに!
この体験談を、全国の歯医者さんに感謝を込めておくります。
いつもありがとうございます!