セブ滞在時に最も必要になるモノは何か?
金である。
間違いない。
お金は多めに持っていこう。
でないと、ほぼ確実に現地で金銭不足に陥る。
目次
油断できない「現地生活費」
語学留学に必要となる費用は、大きく分けて3つある。
1つ目は、語学学校に支払う費用。
授業料・テキスト代・寮費などがこれにあたり、場合によってはビザ取得代行費や各種申請費なども含める。
2つ目は、現地までの渡航費。
飛行機代やタクシー代などが該当する。
3つ目は、現地での生活費。
食費・移動費・観光費・アクティビティ費などが考えられる。
この「生活費」が、留学生が予算を考えるときに一番見落としやすい費用である。
現地での生活費は、人によって大きく額が変わる。
週末は思いっきり遊ぶ人と、寮にこもってずっと勉強する人とでは必要経費にかなり差が出てくる。
渡航前は「これくらいで十分だ」と見積もっていても、実際に滞在してみると予想外の出費が発生することが多い。
物価の違い・相場を考慮し、自分が必要としそうな額より多い額を用意しておかねば、現地で途方に暮れることになる。
「大金を持ち込みたくない」「現地でお金が不足してもどうにかしたい」という場合は、日本にいる間に国際キャッシュカードを作っておこう。
国際キャッシュカードとは、その名の通りキャッシュカードの国際版である。
提携しているATMでなら、世界中どこからでも日本の口座からお金を下ろせる。
もちろん現地通貨に両替された状態で。
クレジットカードが使えない店というのはどこの国でも結構あるものなので、確実に現地通貨を入手できるこのカードは重宝する。
唯一の問題点は「日本にいる間に作っておかないといけない」ということくらいだが、これ一枚あれば現地での金銭不足に困ることはないだろう。
ぼくは作っておかなかったので壮絶に困ることになった。
想定内の範囲外
語学学校の授業が始まって数日経った頃、ぼくは壮大な計算違いに気づいた。
どう考えても生活費が足りない。
当初の予定では、「スキューバダイビングのライセンスを取りにいく」以外では外出せず、週末は寮にこもって勉強するはずだった。
しかし、セブの開放的な雰囲気、数々の観光スポット、安くておいしい外食店、魅力的なアクティビティーなどの存在が分かってくると、「週末は勉強なんかしてる場合じゃねえ」という気になってきた。
新たに行きたい場所・やってみたい事を列挙し計算していくと、どう考えても帰国3週間前に金が尽きる。
一応クレジットカードはあるが、カード払いが効かない店も多い。
何とかして現地通貨を手に入れねば。
しかし、ここで思考が止まる。
どうやって?
国際キャッシュカードは?
いやダメだ。
この時点ではその存在すら知らなかった。
家族の誰かに国際送金してもらうか?
いやダメだ。
セブで受取時に窓口での英会話が必要になる。
誰かにお金を借りようか?
いやダメだ。
ご利用を計画的にしても数万円なんて借りられない。
何とか、誰にも迷惑をかけずに、なるべく英語を話さずに日本の口座からお金を下ろせないだろうか。
途方に暮れたぼくは、Free Talking(何でも自由に話していい)クラスの受講中、講師のトニーに尋ねてみた。
「どうしてもお金が必要なんだ。どうすればいいかな?」
するとトニーは笑ってこう言った。
「簡単だよ、カジノに行けばいいんだ!」
ぼくは、カジノへと足を向けた。
アシュレイの罠
等価交換の錬金術
もちろん一攫千金狙いのギャンブルをしに行ったワケではない。
トニーから聞いたのは以下のような方法だった。
「カジノには、現金をチップに替える両替機がある。
そこではクレジットカードが使える。
クレジットカードでチップを買い、さらにそれを現金に換えることでお望み通りの金額をゲットできるのでは?」
天才かと思った。
確かにこれなら誰にも迷惑をかけず、しかも即座に現地通貨を入手できる。
やるしかない!
カジノなんてドラクエでしか見たことないけど
というワケで授業終了後、IT Parkから程近いWaterfront Cebu City Hotel(ウォーターフロント・セブシティ・ホテル)へと足を向けた。
カジノも内設されているセブ有数の豪華ホテルである。
夕暮れの中に威厳を湛える外観を見上げつつ、ハーフパンツにTシャツというどう見ても庶民な自分が入ってもいいのかと途方に暮れつつも足を踏み入れた。
映画などでよく見る、キッチリとした身なりのドアマンが「どうぞ」とばかり重いガラスの扉を開けてくれるという風景を目の当たりにする。
まるで王族にでもなったかのようだ。
さぁ、数万円分の現金を手に入れねば。
カジノを一通り見回り、両替機を探す。
途中、ポーカー・バカラ・ルーレットなどを嗜んでらっしゃる貴族の方々がいらっしゃるコーナーに入ったが、あまりにも場違いだったので早々に退散した。
一方スロットマシンコーナーは、日本のパチンコ店の方が行儀良いのではという程の世紀末っぷりだった。
何となく居心地が良かったが、強請られたら怖いのでやはり早々に退散した。
ようやく両替機を見つける。
何だかよく分からない英語が書いてあるが、恐らくこれだろうとアタリをつけクレジットカードを投入する。
「ふふ、”異国で一人カジノに行きチップを手に入れた”なんて孫への自慢話になるレベルの武勇伝だな」とか妄想に耽っていたら、あっさりとカードが返却された。
画面には”Not Available”……り、「利用不可」?
スタンドアローン・コンプレックス
な、何だ。
一体どういう事だ。
いや落ち着け。
きっと操作を間違えただけだ。
もう一度やればできる。
だが、いくら試行錯誤しても一向にクレジットカードでチップを買うことが、できない。
困り果てた末に、映画「ハリーポッター」シリーズのマクゴナガル先生によく似た従業員の女性に助けを求めた。
8割がた何も聞き取れなかったが、「今はオフライン」という単語と、何となく「クレジットカードはもう使えません」というニュアンスは理解できた。
恐らく、以前は可能だったが、現在では両替機はオフライン(ネットに繋がっていない状態)なので、クレジットの利用は不可、ということなのだろう。
あっさりと道は断たれた。
どうしよう。
だがここで考えていても仕方がない。
既に外は暗くなり始めていたので、用心のためタクシーで帰ることにする。
手持ちクレジットカードは学生カードなので海外キャッシングも利用できない。
万策尽きた。
誰か助けて……。
ひろうかみがあらわれた
にっちもさっちもいかなくなったので、語学学校NILSのスタッフの方に泣きつくことにした。
何か良い方法はないでしょうかと聞くと、なんとNILS日本口座に振り込めば、NILSフィリピン口座に送金し適正レートで両替した後に手渡しで渡して下さるという。
「普段はしないんですが、今回は緊急事態ということで」とにっこり笑っておっしゃって下さったスタッフの方に頭を下げて謝意を述べまくる。
ありがとうございます。
早速インターネットを使用し、自分の口座からNILSの日本口座に振り込みを行った。
それから数日後、数万円分の振り込み額は現地通貨ペソに両替されてぼくの手に届いた。
た、助かった……。
今回の件からぼくが得るべき教訓
留学目的で滞在するときは、事前に必ず国際キャッシュカードを作っておこう。
現金を下ろす「国際キャッシング機能」が付いているクレジットカードもあるにはあるが、国際キャッシュカードに比べると手数料が段違いに高い。
国際キャッシュカードがあればいつでも格安でお金を下ろせるので、現金が不足した時はもちろん、入国時に多額の金額を持ち込む危険も回避できる。
作成は必要事項を記入するだけなので非常にカンタンだ。
ただ、申請から発行にはやや時間がかかるので、早めに準備しておこう。
今は留学の予定が無くとも、1年後2年後に備えて早めに作っておいた方が後々安心である。
2週間以上の語学留学を考えている方は、ぜひ今のうちに作っておこう。