手ごたえのある論理クイズが登場!
問題文は短いけれど、考えることは意外と多い。
暗中模索の良問のカラクリをあなたは見抜けるでしょうか。
問題
8人の幼女が総当たり戦を行う。
全員が、他の幼女とそれぞれ1回ずつ戦う。
ゲームの勝者には1ポイント、敗者には0ポイント、引き分けは両者に0.5ポイントが与えられる。
最終結果は以下の通り。
・全員の得点がバラバラ
・2位の幼女の得点は、下位4人の総得点と同じ
さて、3位と7位の対戦ではどちらが勝った?
さあ、解いてみよう!
んん。
なんだこれ。
分かるわけがない。
分かるわけがないッ!
はい。
割と難しいのでじっくり考えてください。
少し下にスクロールするとヒント編が始まります。
ヒント
第1のヒント
総当たり戦の場合、4人では6ゲーム、8人では28ゲームが行われる
そうですね。
めっちゃ重要なヒントです。
これ、本文では「8人が総当たり戦を行う」の一言でさらっと流されてますがすごく大事です。
この重要性をノーヒントで気づけるかどうかがカギです。
第2のヒント
下位4人の間で6ゲームが行われた
これも重要です。
まずゲーム数に着目しなければ話が始まりません。
第3のヒント
1ゲームにつき、2人の対戦者には合計1ポイントが付与される
勝者には1ポイント。
敗者には0ポイント。
引き分けなら両者に0.5ポイント。
ということは、1ゲーム行われるたびに幼女全体での総ポイント数は1ずつ増えていくわけです。
つまり……?
第4のヒント
最終結果における全幼女の総ポイントは、28
これがすべての出発点になります。
最後のヒント
重要なのは、上位4名のポイント
問題とはあまり関係なさそうな上位4名の点数。
まずこれを解くことが正しい方針になります。
最後のヒント
最終的に、全員の得点はバラバラだった
問題文中に登場するこの一言が、何度も強い味方になってくれます。
※少し下にスクロールすると答えがあります
正解
3位の幼女が、7位の幼女に勝った
解説
やや複雑な展開になります。
順を追って見ていきましょう。
前提
- 「幼女8人の総当たり戦」なので、行われたゲーム数は合計28
- 「幼女4人の総当たり戦」なら、行われたゲーム数は合計6
- 1ゲームごとに、全幼女の合計ポイント数が1増える
- 「幼女8人の総当たり戦」において、幼女8人の合計ポイントは28
- 「幼女4人の総当たり戦」において、幼女4人の合計ポイントは6
- 1人の幼女は、他の7人と対戦する
この問題の難しさは、「解答に必要な数字を自分で計算して入手しなければならない」ところにあります。
特につまづきやすいのが「総当たり戦の試合数」。
これが分からないと先へ進めない序盤の難関となっています。
まずは下位4人
さて、下位4人(5位〜8位)の幼女に着目してみましょう。
「総当たり戦」なので、この下位4人の間でも6ゲームが行われたはずです。
ということは、彼女たちの合計ポイントは少なくとも6はあるはずです。
※1ゲームにつき1ポイントが対戦者に与えられるから(1人に1ポイント、あるいは2人に0.5ポイントずつ)
下位4人の合計ポイントは、少なくとも6ポイント。
ここで問題文の
「2位の幼女の得点は、下位4人の総得点と同じ」
より、2位の得点は少なくとも6ポイントです。
2位の得点は?
さて、「8人の総当たり戦」ということは1人につき7回の対戦が行われます。
幼女1人は7回ゲームを行うのです。
つまり、幼女1人が取得できるポイントの最大数は7ポイント。
ここで考えたいのが2位のポイント数。
2位は「少なくとも6ポイント以上」なので「6」「6.5」「7」のうちどれかです。
7ポイント?
ありえません。
7ポイントを獲得できるのは、全勝した幼女のみです。
2位の上に1位がいる以上、これは不可能です。
では6.5ポイント?
これもありえません。
問題文の「全員の得点がバラバラ」より、2位が6.5ポイントなら1位は7ポイントになります。
この場合、1位は全勝したことになり、2位は少なくとも1回は負けていることになります。
「6勝1分け」の時しか獲得できない6.5ポイントも、この状況で実現させることはやはり不可能です。
決まりました。
2位は6ポイントです。
そして「全員の得点がバラバラ」なので1位は7ポイントか6.5ポイントです。
とりあえず「1位は7ポイント」として話を進めていきます。
※「1位が6.5ポイント」の場合については後述します
3位と4位
これまでの結果をまとめてみましょう。
順位 | 勝ち負け | 最終ポイント数 |
1位 | ◯◯◯◯◯◯◯ | 7ポイント |
2位 | ×◯◯◯◯◯◯ | 6ポイント |
3位 | ||
4位 | ||
5位 | ||
6位 | ||
7位 | ||
8位 |
さて、全幼女の最終ポイント数の合計は28ポイントでした。
1位が7ポイント。
2位が6ポイント。
5〜8位の合計が6ポイント。
ということは、3〜4位の合計は9ポイントになるはずです。
ではその内訳は?
3位: 5ポイント
4位: 4ポイント
あるいは
3位: 4.5ポイント
4位: 4.5ポイント
しかし問題文の「全員の得点がバラバラ」より、2人とも4.5ポイントになる可能性は排除されます。
すなわち、
3位: 5ポイント
4位: 4ポイント
という内訳になります。
順位 | 勝ち負け | 最終ポイント数 |
1位 | ◯◯◯◯◯◯◯ | 7ポイント |
2位 | ×◯◯◯◯◯◯ | 6ポイント |
3位 | 5ポイント | |
4位 | 4ポイント | |
5位 | ||
6位 | ||
7位 | ||
8位 |
1位が6.5ポイントの場合、この上位4人のポイントが以下のように変化します。
1位:6.5ポイント
2位:6ポイント
3位:5.5ポイント
4位:4ポイント
「1位と3位が引き分けた」という構図ですが、解答に大きな影響はありません。
3位は、1〜2位に敗れながらも5ポイントを獲得しているので、
「自分より上位には負けたが、自分より下位には全勝した」
という事実が確定します。
そして4位も同じく。
表を埋めてみましょう。
順位 | 勝ち負け | 最終ポイント数 |
1位 | ◯◯◯◯◯◯◯ | 7ポイント |
2位 | ×◯◯◯◯◯◯ | 6ポイント |
3位 | ××◯◯◯◯◯ | 5ポイント |
4位 | ×××◯◯◯◯ | 4ポイント |
5位 | ||
6位 | ||
7位 | ||
8位 |
これが答えです。
最後のからくり
上の表はいったい何を意味するのか?
1位から4位までの幼女は、自分より順位が上の幼女にはすべて敗北している。
そして
1位から4位までの幼女は、自分より順位が下の幼女にはすべて勝利している。
そうです。
下位4人の幼女はすべて、上位4人との対戦で破れています。
つまり当然……3位の幼女は、7位の幼女に勝っているわけです。
まとめ
久々に「論理!!!」って感じがするクイズでした。
この問題が気に入った方は
論理クイズ「幼女と隠された運動会」
もおすすめです!
参考
ロシア数学オリンピックの問題より(Problem 28)
Projecto Delfos Colecção de Problemas das Olimpíadas Russas
Projecto Delfos Soluções de Problemas das Olimpíadas Russas
140字以内の問題文
8人の幼女が総当たり戦を行う
全員が他の幼女とそれぞれ1回ずつ戦う
ゲームの勝者には1点、敗者には0点、引き分けは両者に0.5点が与えられる
最終結果は次の通り
・全員の得点がバラバラ
・2位の得点は、下位4人の合計得点と同じ
さて、3位と7位の対戦ではどちらが勝った?