論理クイズ「幼女と隠された運動会」で見えない過去を切り開け

問題

3人の幼女が運動会を行う。
参加者は3人のみ。

各競技では1位2位3位にそれぞれ得点が与えられる。
得点は全競技を通して常に一定で、つまり1位は常にX点、2位は常にY点、3位は常にZ点が与えられる。

得点は、X>Y>Z>0を満たす整数である。

いま全競技が終了したところ、

  • 幼女Aは全体で22点
  • 幼女Bは槍投げで1位になり、全体で9点
  • 幼女Cは全体で9点

という結果になった。

さて、100メートル走で2位になったのは誰?

さあ、解いてみよう!

最後の一文で衝撃を受けた方も多いかと思います。

突然それまで全く記述の無い100メートル走についての詳細を問われたからです。

こんな問題、本当に解けるのでしょうか?

解けます。

実際、この問題は論理クイズとして非常に洗練されており、最初のとっかかりさえ掴めればあとは一本道で正解にたどり着けます。

解けると非常に爽快なので、ぜひノーヒントでチャレンジしてください。

以下では「問題のポイント」「ヒント」「正解」「解説」と続きます。

「ヒント」を見たくない方は「問題のポイント」だけ見るようにしましょう。

問題のポイント

隠された競技

幼女Bは槍投げで1位になり、全体で9点

さて、100メートル走で2位になったのは誰?

いろいろと情報が不足している本問ですが、最大の疑問となるのが「他の競技は何だったのか?」というもの。

問題文から、少なくとも「槍投げ」「100メートル走」という2つの競技が行われたことは明らかです。

しかし、それ以外の競技については名称はおろか「競技は全部でいくつあったのか?」ということすら分かりません。

見えない得点

各競技では1位2位3位にそれぞれ得点が与えられる。
得点は全競技を通して常に一定で、つまり1位は常にX点、2位は常にY点、3位は常にZ点が与えられる。

得点は、X>Y>Z>0を満たす整数である。

うっかり読み流してしまいそうですが、ちょっと注意して見てください。

「競技」についてほとんど何も情報がない以上、この「得点」に何らかのカギが含まれているはずです。

特に「得点はX>Y>Z>0を満たす整数」という部分。

突破の糸口を探り当ててください。

最終結果の謎

  • 幼女Aは全体で22点
  • 幼女Bは槍投げで1位になり、全体で9点
  • 幼女Cは全体で9点

最も多くの情報が開示されている「最終結果」に着目してみましょう。

「最終的に得た総得点」「22点」「槍投げで1位になって9点」「9点」など、とっかかりになりそうなパーツが散らばっています。

事実、「最終結果」以外の要素はすべて未知なので、ここから思考をスタートしなければなりません。

「確定していることから考える」のは論理クイズの常套手段です。

以下、ヒント編です。

ヒント

第1のヒント

競技の総得点は40点

最終結果はそれぞれ「22点」「9点」「9点」でした。

すなわちそれらを足した「40点」が運動会の全競技の総得点です。

第2のヒント

1競技の得点の合計は(X+Y+Z)点

「1位は常にX点、2位は常にY点、3位は常にZ点が与えられる」ということは、1競技の合計点は常に(X+Y+Z)点だということです。

第1のヒントと合わると、何か見えてきませんか?

第3のヒント

競技の数は、40で割り切れる数でなければならない

全競技の総得点が40ということは、行われた競技は40の約数でなければいけません。

なぜなら、「1競技の得点の合計は(X+Y+Z)点」である以上、(X+Y+Z)点が40で割り切れないとおかしいからです。

たとえば2競技行われた場合、1競技の得点の合計は20点でいいでしょう。

しかし3競技行われたと考えると、1競技の得点の合計が13点では合計39点、14点だと42点になってしまい、「全競技の総得点が40」という事実と矛盾します。

第4のヒント

1競技の得点の合計は、最小でも6点

得点がX>Y>Z>0を満たす整数ということは、1競技における最小の得点配分は1位2位3位がそれぞれ3点、2点、1点というケースです。

第3のヒントと合わせると、何か見えてきませんか?

第5のヒント

「競技が何回おこなわれたか」「得点の配分はどうだったか」はほぼ同時に判明する

最後のヒント

「100メートル走」の本当の意味とは、「槍投げ以外の競技である」ということ

正解

100メートル走で2位になったのは、幼女C

解説

問題文から導かれる前提

最初に、幼女たちの最終結果の得点から、全競技の総得点は40点であることが分かります。

また、1競技の合計点は(X+Y+Z)点です。
さらに「X>Y>Z>0を満たす整数」という条件から、1競技の合計点は最小でも6点である(3>2>1>0を満たすので1位3点+2位2点+3位1点)ということが分かります。

競技の数をしぼる

まず、「いくつの競技が行われたか」について考えましょう。

全競技の総得点は40点なので、「競技の数」×「1競技の合計得点」は40になります。

つまり「競技の数」は40で割り切れる数でなければなりません。

この時点で、ありえる「競技の数」は40の約数である1,2,4,5,8,10,20,40のどれか。

それぞれについて考察していきましょう。

 

競技の数 1競技の合計得点 可か不可か
1 40 不可。少なくとも2競技存在することが分かっている
2 20 不可。幼女Bは1位をとって合計9点なのに、幼女Aが残り1競技で合計22点にすることはできない
4 10 可。ありえる。いずれの条件とも矛盾しない
5 8 可。ありえる。いずれの条件とも矛盾しない
8 5 不可。1競技の合計得点の最小値は6であるから
10 4 不可。同上
20 2 不可。同上
40 1 不可。同上

以上より、行われた競技の数は「4」か「5」のいずれかです。

競技の数は4だったのか?

では、競技数が「4」だった場合を仮定してみましょう。

競技数が4の場合、1競技の合計得点は10点です。

X>Y>Z>0を満たす整数がX+Y+Z=10になる組み合わせは以下の4通りです。

(5,3,2)
(5,2,1)
(6,3,1)
(7,2,1)

詳しく検証してみましょう。

5,3,2 不可。たとえ4競技で1位を取っても22点に到達しない
5,4,1 不可。同上
6,3,1 不可。この組み合わせで22点という総得点は作れない
7,2,1 可。ありえる

どうやら(7,2,1)という組み合わせは有りえそうです。

これなら幼女Aの総得点が22点になる(1位を3回、3位を1回)可能性があります。

しかし……どうしても幼女Bの総得点が9点になりません。
幼女Bは槍投げで1位を取っているからです。
その時点で幼女Bは7点を獲得しています。
残り3競技ですべて3位を取ったとしても、得られる得点は+3で合計10点。
9点をオーバーします。

したがって、競技数は4ではなかったという結論になります。

この段階で、消去法により運動会で行われたのは5競技だったと確定します。

競技数は5。では1競技の得点の内訳は?

5つの競技が行われ、1競技の合計得点は8点だったというところまで分かりました。

得点の内訳パターンとしてありえるのは、

(4,3,1)
(5,2,1)

のいずれか。

あと一息です。

両パターンを考えてみましょう。

4,3,1 不可。最大得点が4×5=20なので、幼女Aが22点に到達しない
5,2,1 可。あらゆる条件と矛盾しない

他のあらゆる可能性が排除されました。

行われた競技は5回で、その得点内訳は(5,2,1)です。

最後の一覧

さあ、いよいよ大詰めです!

有りえる可能性は1競技の得点内訳が(5,2,1)の場合だけです。

幼女Aが22点になることは?
可能です。
1位4回(5×4=20点) + 2位1回(2×1=2)で合計22点です。

幼女Aが1位になれなかったのは1回だけ。
それが当てはまるのは、幼女Bが1位になった「槍投げ」しかありません。

表を埋めてみましょう。

競技 幼女A 幼女B 幼女C
槍投げ 2位(2点)
1位(5点)
1位(5点)
1位(5点)
1位(5点)
合計22点 合計9点 合計9点

続いて、幼女Bが9点になるには?

1位1回(5×1=5点) + 3位4回(1×4=4)で合計9点です。

そのうち1位を取ったのは「槍投げ」なので、表は以下のようになります。

競技 幼女A 幼女B 幼女C
槍投げ 2位(2点) 1位(5点)
1位(5点) 3位(1点)
1位(5点) 3位(1点)
1位(5点) 3位(1点)
1位(5点) 3位(1点)
 合計22点 合計9点  合計9点

さて、幼女Aと幼女Bの順位が決まったので、自動的に幼女Cの順位も決まります。

競技 幼女A 幼女B 幼女C
槍投げ 2位(2点) 1位(5点) 3位(1点)
1位(5点) 3位(1点) 2位(2点)
1位(5点) 3位(1点) 2位(2点)
1位(5点) 3位(1点) 2位(2点)
1位(5点) 3位(1点) 2位(2点)
合計22点 合計9点 合計9点

これが運動会の全容です。

幼女Cの順位に注目してください。

彼女は、「槍投げ」以外のすべての競技で2位を取っています。

すなわち、「槍投げ」と「100メートル走」以外にどんな競技が行われたのかはわかりませんが、問題文の「100メートル走で2位をとった人物」に当てはまるのは幼女Cでしかありえないわけです。

というわけで答えは「幼女C」でした。

まとめ

「槍投げ」以外の2位は全員同じ人物、というのは秀逸なオチでしたね。

こういう面白い問題を作れる人ってすごいですホント。

これだから論理クイズはやめられません。

参考サイト

NSA公式サイト

本記事の論理クイズは、NSA公式サイトより主旨を引用いたしました。

ん? こんな時間に誰か来

140字以内での問題文

3人の幼女が運動会を行う。各競技では1位2位3位にそれぞれX点Y点Z点が得点として与えられる。得点は全競技で常に同一で、X>Y>Z>0を満たす整数である。全競技が終わり、幼女Aは22点、幼女Bは槍投げで1位になり9点、幼女Cは9点だった。100メートル走で2位になったのは誰?