「白衣性恋愛症候群」をプレイしたので骨髄バンクにドナー登録してきました

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つい最近、「白衣性恋愛症候群RE:Therapy (リセラピー)」というゲームをクリアしました。
骨髄移植を待ち望む人のために何かできないかと思いました。
そんなわけで骨髄バンクにドナー登録してきました。
以下、体験談です。

「白衣性恋愛症候群」とは

工画堂スタジオ『白衣性恋愛症候群RE:Therapy (リセラピー)』

再び出会う、白衣の天使たち・・・
古都「神倉(かなくら)」からほど近い海沿いの町「百合ヶ浜」。
この町で新米看護師として奮闘する主人公”沢井かおり”は、仕事を通してたくさんの人たちとふれあい、成長していく。
そんな、病院でのありふれた、少女達の物語と、その続きのお話。
「白衣性恋愛症候群」公式サイトより

『白衣性恋愛症候群』(はくいせいれんあいしょうこうぐん)は、工画堂スタジオより2011年9月29日に発売されたPlayStation Portable用ガールズアドベンチャーゲーム。「白恋」(しろこい)と略される。
2012年6月28日には、新要素を追加した『白衣性恋愛症候群 RE:Therapy』が発売された。
シナリオを担当した円と佐倉の2人は現役の看護師であり、シナリオの中には彼女たちの実体験を元にした物もある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/白衣性恋愛症候群

一言でいうと「キラ☆ふわガールズラブ看護師アドベンチャーゲーム」です。
はい。
公式サイトにそう書いてあるから間違いありません。

柔らかいタッチで描かれた登場人物たちが、専門用語が飛び交い臨場感あふれる実際の看護現場に近い雰囲気の中で、シリアスな展開とコミカルな描写を半々くらいの割合で辿りつつ、最終的にはキラキラしたりふわふわしたり絶望したり立ち直ったり立ち直れなかったりする物語です。

これ系のゲームをよくやる人ほどハマってしまう強烈なミスリードがあったり、主要攻略キャラルートをクリアするごとに少しずつ謎が明らかになっていったりするなど、ストーリーもよく練られています。

さて、作中である人物が「骨髄移植を受けたい」と考えるのですが、そのために歩むのがもう果てしなく辛い道なのです。

移植にはリスクが伴います。
骨髄移植を受ける前処理として、患者さんは自身の骨髄の機能を完全に停止させなければなりません。
新たな骨髄を受け入れるために、自分の造血管細胞を破壊し、血液をつくれない状態にしないといけないのです。
そのために、致死量の抗がん剤を投与され、放射線を照射されます。
まさに命がけです。
さらに抗がん剤による合併症を乗り越えたとしても、手術後、移植した骨髄がGVHD(移植片対宿主病)を発症させると致命的となります。
その上、GVHDを無事クリアしたとしても、元々の病気が再発しないとも限りません。

ただ書いてるだけでも目を覆いたくなるほどの辛苦ぶりです。
分かりやすく言うと「サイコロを投げて1回目と2回目と3回目で全部1が出ないと生存不可」みたいな理不尽さです。
「骨髄ドナーが見つかれば患者さんは助かるんでしょ?」と軽く考えていた僕にとって、移植自体が相当なリスクという事実は背筋が凍るほどの衝撃でした。

「やべえ……こんな患者さんが実際の日本に数千、数万人もいるなんて……。何か、何か自分にできることはないか。骨髄バンクにドナー登録すればいいのか? でも何か手続きとか難しそうだし……」
と考えていたところ、作中の人物が超カンタンにドナー登録をすませていたので、「これならいけるやん!」と思い次の日にドナー登録へと向かいました。

献血ルームへ

骨髄バンクのドナー登録が行える場所は、全国各地にある献血ルームや福祉センター、保健所などです。
今回は川崎で行うことにしました。

川崎ルフロン

JR川崎駅東口から徒歩1分の川崎ルフロンへ。

川崎ルフロン献血ルーム

その9階に献血ルームはあります。
内部は大きく間を取ってソファが並べられ、温度湿度ともに空調は良好で、やたらとくつろげる癒しの空間になっています。

受付の方に「骨髄バンクのドナー登録に来ました」と伝えると、「献血もして行きますか?」と聞かれましたので、何となく「はい」と答えました。

ドナー登録自体はすぐ終わりました。
パンフレットを読んで、同意書に名前や住所を書いて提出し、2mlほど採血して終わりです。
印鑑も保護者承認も必要ありません。
あまりにもあっさり終わってしまったので何かの罠かと思いました。

400ml献血の罠

続いて、当初の予定には無かった400ml献血に向かいます。

400mlというと、500mlペットボトル80%分です。
つまりほぼ500mlの血を抜くようなものです。四捨五入すると1リットルです。
え? 多くない? 死ぬのでは?
怖くなったので聞いてみました。

「血液の3分の1を失うと生命が危険」というのは有名な話ですが、失われる循環血液量が15%以内であれば血液の循環動態には影響がないようです。「血液量の15%」とは、体重50kgの男性なら600mlに相当します。
それより更に少ない400mlというのは、献血者本人の身体になるべく負担が出ないレベルに設定された量のようです。

ふふふ何だ、楽勝ではないか。
意気揚々と献血準備に向かいます。

free drink

「2杯ほど飲み物を摂取しておいてくださいね」と言われやってきた自動販売機。
なんと全て無料
ありがたい……爪に火をともすような生活をしている僕にとっては天からの祝福に思えます。
オニオンスープやポテトスープなどを3杯ほど飲み干し、頂戴したクッキーをザクザクかじり、献血室へと入りました。

身体を倒してリラックスできるリクライニング椅子ベッドらしき何かに寝そべり、いよいよ400ml献血開始。
針を刺された痛みはほとんど無く、「寝てる間に終わりそうだな」と早くも余裕綽々に。

しかし数分後、なにやら違和感が。
別にどうということはないんですが、何となくノドの奥がつまる感じがしてきます。
暑さで寝苦しい熱帯夜のようにまとわりつく圧迫感。
少しずつ、緊張していく脳。じくじくとにじむ恐怖。
「あとどれくらいですか?」傍らに待機している看護師さんに聞きます。
「300mlを過ぎたところです。もうすぐ終わりますよ」落ち着いた答えが返ってきます。

まぁもう少しだから我慢できるやろ……。
そう思っていたのですが、どうも身体から力が抜けていきます。
不快感とは微妙に異なる虚脱感。
時間とともに思考能力に霧がかかり、瞳の裏側の視界がぼうっと霞んでいくような。
あ、ヤバい。
これ「血の気が引く」ってやつだ。

急いで中止を申し出ます。
複数の看護師さんが即座に駆けつけ、脈を計ったり足を持ち上げて固定したり針を抜いたりしてくださいました。
ゲーム「白衣性恋愛症候群」の中で、患者さんに何か異変が起こったとき、看護師さんたちはまず患者さんのバイタル(脈拍あるいは心拍数・呼吸(数)・血圧・体温の4つを指すことが多い)を測定していましたが、「ああ現実でも同じように急いで脈とか血圧とか計るんだなー」と思いました。

しばらくしたら回復しました。

献血後、ドクタールームに案内されました。
「血圧が20、脈拍が40ほど一気に低下した」状態だったということですが、正直何がどうヤバいのか、そもそもそれはヤバい事なのかどうかすらサッパリ分からないので、とりあえず「うわヤバいですね」と驚愕した表情を取り繕っておきました。

今回僕の身に起こったのは「迷走神経反射」で、「精神的ショックやストレスが誘因となって自律神経のバランスが崩れ、抹消血管の抵抗が減少し血液が心臓に戻らなくなり、血圧低下となり脳血流が低下して目まいや失神を引き起こす現象」というものらしいです。
注射針が刺されたことに強いストレスを感じて発生したようです。
つまりヘタレってことですね。生きててすみません。

神奈川県ですと、献血の際にこういった不調が2回続けて発生した場合、血液提供者の安全を確保するため、その人は神奈川県での献血が以後不可能になります。
次は別の県でやってみることにします。

家に帰って食事をとってたっぷり寝たところ、体調は翌日には完全回復していました。
次回までに強い心を手に入れられるよう、現実世界でのレベルアップを目指していきます。

白衣性恋愛症候群、PSP版とPC版で絶賛発売中です。
次回作を出してもらうために買いましょう!(ステマ)

と思ったら既に出てました。
工画堂スタジオしまりすさんチーム最新作、キラ☆ふわ看護学生アドベンチャーゲーム「白衣性愛情依存症」発売中。
タイトルが似ているのでまぎらわしいですが、こちらは2015年発売の新作です。

超名作「シンフォニック=レイン」もどうぞ。
これは1記事まるまる使ってレビューしたいくらいのド名作ですよ。ええ。