2023年、とんでもないマーケティングの名著が出てしまったのでおすすめさせてください。
ちょっと誤解されやすいタイトルですが、間違いなく今後マーケターの必読書になるであろう一冊です。
目次
概要
これってどんな本?
マーケティングの本です。
どうすれば商品やサービスがいっぱい売れて、利益を大きく出せるか。
具体的に何をすればいいのか?
そんなことが分かる解説本です。
他のマーケティング本とは何が違うの?
くわしくは後で述べますが、一番大きな違いは
「たとえ自分が使うことすらできない商品でも大ヒットさせられる」
ようになる点です。
この本を書いたマーケターは女性。
そして彼女が大ヒットさせたのはオナホール、いわゆる男性しか使えない性具です。
自分では商品を使うことすらできないから、良し悪しも判断できない。
こういった極限状態でも、ある戦略を採ることで市場の勝ち組になることができる。
この本は、そんなマーケティング戦略について緻密に書かれています。
著者の神山理子ってどんな人?
鉄人。
それが神山さんの印象です。
会社でみっちり8時間働いた後、別の会社でさらに8時間働く。
それを毎日。土日も関係なく。空き時間すらも。
寝不足の人が多いことで有名なベンチャー業界においても、「本当に寝てないんじゃないか」「人の上位種か?」とまことしやかに囁かれたのはこの方くらいでした。
同じ職場で働いていて、仕事への圧倒的熱量とコミット力とぶっ飛んだエピソードの数は誰よりも多かったです。
一見するとめちゃくちゃ可愛い女子大生なのに、ビジネスで上げた数々の実績は伝説的とまで評されていました。
手がける事業はどれも伸びに伸び、あらゆる困難も不断の努力で乗り越えたマーケター。
それが、ぼくから見た神山さんの印象です。
この本のおすすめポイントは?
1.「自分がユーザーではない商品」でも売れるようになる
先ほど少し触れましたが、本書は「男性しか使えないオナホ」を「女子大生」が開発→販売→成功した実話を軸にしています。
はい。
1回も使ったことがない、何なら全く知識もない。
そんな商品、本当に売れるのか?
めちゃくちゃ難しいことのように思えます。
実際、難しいです。
そしてこういう難しい案件ほど、なぜか自分が担当者になっていた……。
そんな経験ありませんか?
実際、会社勤めのマーケターだとよくあるパターンだと思います。
周りにマーケティングに詳しい社員がいないから、「とりあえずマーケティングして」でタスクが回ってくる。
縁もゆかりもない、使ったこともないし使う予定もないし何なら物理的に使えない商品のマーケティングを任される。
めちゃくちゃ高難易度のクエストです。
そして本書では、まさに「本人が商品を利用できない」という超高難易度であっても成功まで持っていけるマーケティング戦略が解説されています。
いや開発して販売したの女子大生ですからね。
オナホを使うことも、良し悪しを体験することも一切できない状態ですからね。
むしろなぜその状況で成功できたのかと気になって夜も眠れない勢いですからね。
鍵となるのは、本書最大の目玉である「インサイト発掘方法」。
インサイトとは「顧客を動かす隠れた心理」としてマーケティング界隈では有名な概念ですが、見つけるのが極めて難しいことでも知られています。
これを見つければ勝ちなのですが、見つけるのが難しいからこそ多くの商品は利益を出せていないんですね。
そこで。
本書はこのインサイトを見つけるための具体的な手法が分かりやすく解説されています。
信頼度は言うまでもないでしょう。
何しろ著者自身が実際にその手法を使って成功しているので。
すぐにでも読者が使えるように、特典としてインサイト発掘マインドマップがついてくるのも嬉しいところ。
著者が成功前に、実際にマインドマップを使ってインサイトを深掘りした流れが分かるので、すぐにでも自分の業務に転用できます。
このインサイトを発見する方法だけでも本書を読む価値はあります。
不勉強なぼくは相当勉強になりました。
2.本の構成自体がマーケティングの原則に沿ってる
この本の表紙を見たとき、多くの人はこう思ったはずです。
「え、なんかちょっとエロそう」「気になる」「どういう本なのかな?」と。
そしてよくよく見てみようと思い目を凝らすと、どうやらビジネスやマーケティングについての本だと分かる……。
実際、この表紙において「マーケティング」という言葉が出てくる面積割合は20%くらい。
残りの80%くらいは「女子大生」「オナホ」要素のオンパレードです。
何なら帯を取ると100%「女子大生」「オナホ」という情報しかありません。
なぜ、マーケティングの本だと一目で分かるようにもっと”マーケティング”という単語を大きく書かないのか?
なぜ、「女子大生」と「オナホ」の要素が超前面に出ているのか?
それは、まず顧客の目を引かないといけないからです。
本は、競合商品が圧倒的に多く近くに並んでいる状態で販売されています。
それは書店でもAmazonでも変わりません。
数百冊、数千冊、数万冊の競合商品が、ちょっと目を横にずらしただけで陳列されています。
そんな過酷な環境下では、「良い商品かどうか」を判断してもらう前にそもそも顧客の目を引かなければ売れることはないのです。
目を引かなければ手に取ってもらえず、
手に取って色々見てもらわねば本の良し悪しが判断できず、
そうなると当然レジへ持っていかれることもありません。
スタート地点を越えなければ、ゴールへ辿り着くことはないのです。
つまり顧客の目を引くために本書の表紙は「女子大生」「オナホ」が大きく打ち出されていると言えます。
こんな表紙めちゃくちゃ目を引くに決まってます。
特に男性にとっては抗えぬ魔力みたいなレベルです。
この表紙に目を引かれて手に取る
→もっとよく見てみるとどうやらマーケティングの本だと分かる
→目次を見てみたら何か良さそうな気配がする
→分かりやすくて面白そうだし珍しいエピソード多そうだから退屈しなさそう
→うん、今後のキャリアにも役立ちそうだし買ってもいいんじゃないか?
そんな経緯で購入に踏み切った方も多いかと思います。
以上、一連の流れは本書内の「売れる商品名の設定方法」という章で細かく解説されています。
本書内ではオナホを例に挙げつつ商品を爆売りするための商品名について解説していますが、それがそのまま他の商品にも転用できることをこの本の商品名自体で証明しているのです。
本書では、こうした仕掛けが多く存在します。
「売るためにはこれが必要です」と戦略を解説し、実際にこの本自体もその戦略によって作られていることが後から分かる構造になっている。
一粒で二度美味しいとはまさにこのこと。
必ず2回読んでみてください。
売れるマーケティングの戦略を学んで、本書内のどこに実際に活かされているのかを考えるだけでも相当実力がつくことは間違いありません。
3.エピソードがぶっ飛んでて面白い
ネタバレになるので何も書けません。
突飛なだけじゃなくていちいちオチがついてくるのでさらに吹きます。
まとめ
個人的に、歴史に残るマーケティング書だと思ってます。
価格も1400円でマーケティング本としては相当手に入れやすい値段なので、
「マーケターとしてのスキルアップのために何かしなきゃな…」
「でもしんどいことはいやだな……」
「なんか気軽にレベルアップしてーっすわ…………」
とお考えのかつてのぼくみたいな方がいらっしゃったらめちゃくちゃおすすめです。
面白い本読んでたらいつの間にかマーケ力ついてるので。